ウワーッ
なちこです。
小説書くのをあきらめたって話を、この記事で書きました。
さて、小説を書いていたって言っても、プロットを考えたり、設定のアイデア出しばかりをしていて、実際の本文はほんの少ししか書けなかったんですが(しかも、文章にもなっていない、箇条書きのようなものがほとんどだったり…)、見せれそうなものがあれば、見せていこうかと思います。
ほんまに断片ですが、よかったらどうぞ。
船はいつも通り低いエンジン音を響かせてインド洋を渡っている。風はおだやかで、青くたぽたぽした海面が広がっていた。
彼ーー新聞局長のフェアーーは、わくわくしているような表情でデッキの下の海面を見下ろしていた。
何だろう? つられて詠美も手すりの向こうを窺った。「え…?」
思わず声が漏れた。太陽が照りつけキラキラと光る青い水面から、何かがヒュッと現れ、
ぶーーーーーん
と音が聞こえそうな飛び方で、水面ギリギリのところをまっすぐ優雅に飛び、またヒュッと水面に消えたのだ。
その間5秒くらいだったろうか。
魚だったような気もするが、確認するには5秒はあまりに短すぎた。いや、魚だったとしたら、5秒も低空飛行するなんて長すぎるんだけど。
羽のようなものを広げていたし、魚じゃなくて、鳥だったんだろうか? しかし鳥にしては、やけにキラキラしていた。「見た? すごいっしょ!?」
声をかけられたのが自分だということに気づいたのは、次の「何か」がまた水面から飛び出したのと同時だった。水面に気をとられて返答する間がない。今度は二匹で飛んでいる。いや、二羽? 二尾?
また、ぶーーーーーんという音が聞こえそうな気がした。
もしくは、スィーーーーーッだろうか。
今度は少し蛇行しながら、10秒以上も飛んでいただろうか。
それから、ポチャッ、ポチャッという聞こえない音とともに、二尾の魚は水面に消えた。水面を指差しながら、フェアは言った。
「トビウオ、見たことある?」
詠美は首を横に振った。初めて目が合った。
「俺も初めて船に乗った時に知ったんだけど、トビウオって、水面をジャンプするんじゃなくて、本当に『飛ぶ』んだよ! 『フライ』なんだよ、『フライ』! すごくない!?」確かにトビウオは英語ではjumping fishではなくflying fishと言う。
でも、その姿を実際に見たのは初めてだった。
フェアは「ジャンプ(跳ぶ)」の対比として「フライ(飛ぶ)」と言ったに違いなかったが、詠美の耳にはそれはアメリカンスラングとしての“fly”、つまり“cool”や“awesome”の意味であるかのように聞こえた。
それくらい、トビウオの飛ぶ姿は美しく、驚きに満ちていた。(無断転載禁止)
これは実は、練習のために、とある小説の一部分を分解・分析して、真似て書いてみたもの。
(お手本にした小説のタイトルと箇所がわかる人、いるかな〜?)
詠美は帰国子女の日本人CC(ニックネームはAmy)、
フェアというあだ名の男の子は、新聞担当の契約スタッフ(私がスタッフ乗船した時のポジション)という設定です。
この場面は、面識はありつつもちゃんと話したことのなかった2人が、たまたまオープンデッキで出くわして、トビウオをきっかけに友達になる場面(の一部)です。
トビウオの飛ぶ姿の美しさを知れたことは、私にとって、船旅の経験の中でも際立って印象的で大切な思い出なんですが、船に乗らなければ、もしかしたら一生見ることもなかったかもしれません。
もっと、あの美しい姿をたくさんの人に知ってほしい。
できれば生で見てほしい。
そんな思いから、トビウオの飛ぶ姿については、絶対書きたいなと思っていました。
トビウオについて詳しく知りたい人には、この本がおすすめです!
京都のセレクトブックショップ・誠光社でたまたま見つけて、
「運命的…!」って即買いしました😍
帯には「世界初のトビウオ図鑑!」と書いてありました。
写真もたくさん載ってます。
Youtubeでも検索すると、トビウオの飛ぶ姿の映像は観れるみたい。
詠美とフェアはどんな関係になっていくのかな〜?